モミジから好きな人の話を聞いて、すぐにその相手が先生であることはわかった。
でも、言い出せなかった。
嬉しそうに先生の話をするモミジを見ていて、私は複雑な気持ちだったんだ。
嫉妬とはまた違う気持ち。
私の知らない先生の話をするモミジ。
もっと聞かせて欲しいって思ったこともあった。
卒業して、教師してる先生を見ることがなくなった時期だったからだと思う。
新垣先生の熱血ぶりを話すモミジと、昔の自分を重ねていたのかもしれない。
「どうしてるのかな、モミジ」
「会いに行ってみたら?」
ゆかりは思わぬことを言った。
私にはそんな勇気はなかった。