遅れて来た、真麻と晃くんの後ろに、あのライブで見た彼が気怠い雰囲気を纏って立っていた。


『―…え、えっ と。お、遅、遅かったね?』



うわぁっ!

めちゃくちゃ噛んだよっ。
何、動揺してんの!私!

自分でも分かるぐらい、全身の感覚が彼を意識してる。


『碧伊、綺乃ちゃんの隣ね。‥なんだよ?いいから座れって!』

『俺いても意味なくね?つか、帰るよ。お前に渡すモン渡したし。』

『綺乃?大丈夫?−−あ、私アイスティー。レモンで。晃と碧ちゃんは?』



へ??



『いいからッ!』


『――――チッ。』



??
今、舌打ちしたような…




−−−−ガタンッ。


…隣、座った。


ドキドキドキドキ。



私の神経は右半身に集中。

お店は肌寒いくらいに空調がきいてるはずなんだけど……汗かきそう。



『綺乃ちゃん、急にごめんね?あ、こいつ知ってるよね?!俺らのバンドでドラムやってる山本 碧伊(やまもと あおい)。』


どうやったって、意識は右半身なんだけど、頑張って斜め前にいる晃くんに視線を向けた。

『碧ちゃんは、晃とは高校の同級生なんだよねー。で、このコは私の友達で安部 綺乃。』

真麻は何事もないように、ニコニコした笑顔で紹介してくれた。


『『…どーも。』』


私と山本サンはお互いを見ることなく挨拶した。



うっ‥キンチョーするよぉ。