俺は、琉美の手に自分の手を重ねた。


彼女… 桜井 琉美(さくらい るみ)とは、2年近い付き合いになる。

バイト先の先輩に連れて行かれた飲み屋で知り合った。

俺もまだ、高校を卒業したばっかで今よりもっと酷かった。

色んな意味で――…。



そんな中で、こんなに続いた女はコイツだけだ。



きっと、これから先も。



『ねぇ、碧くん?…私だけ見ててね。』

『………――――あぁ。お前だけだよ。』

そう応えて、俺を挑戦的に見上げる琉美の頬にキスを落とした……




この時、俺は自分のコトしか結局は見えてなかったんだ。

キスした後に、抱きしめた琉美の気持ちや、……微かに身体が震えてた事にや、歯を食いしばってた事さえも。




まったく気付いてなかった。いや、…

気付く余裕さえ…………



なかった。