〔碧伊Side〕



『………ねぇ。』


不意に声をかけられ、今、俺はコイツといることを思い出した。

振り向くと、うっすらと汗をかいた額に日に焼けた肩をシーツから出している女がいた。


−−−−…そうだよな。


コイツといたんだ。


なのに、俺は今‥
何をみてた?


つい数時間前まで、緊張した顔で隣にいた女の子が頭にチラついた。


本当はさっきのが初対面じゃない。
ライブに来てたのも気付いてたんだ。

晃と楽しげに話す女の子。

今日は晃に
『会って欲しいコがいる』
そう言われて、あの場所に行った。

ま、どうせ俺の見た目だけで逆上せた奴らの一人だろうから、遊んでやろうか。
実際にバンドなんかやってたら、そんな女なんて飽きる程いたし。



だけど、
そうじゃなかった。



見たカンジ、男に慣れてそうなのにな…

ちょっと触れただけで、真っ赤になるはテンパるわ。

なんか、小動物みてぇ。

フッ。



無意識に思い出してた俺に何かを感じたのか、上半身を起こした琉美が、腰に巻き付いた。



『…どうした?』