…目が合っちゃった。



鼓膜のすぐそばに心臓があるんじゃないか、ってぐらい鼓動が響いてて。

私、今‥絶対、顔赤いよ。



『−−−綺乃チャン、だっけ?暑い?…真っ赤だけど?』


『―−っ!!』


山本サンの指先が軽く、私の頬に触れた。

その指先はすぐに離れていったんだけど、やけにひんやりしたその感触だけが残った。



『―――クッ。いっつも付き合わされてんの?』

『えっ?』


山本サンの指先を目で追ってしまった私に話し掛けてきた。


『いや、だから、このバカップルに。』

そう言って、チラッと目線だけを動かした。

『そう…ですね。いつも、こんなカンジですよ。−−−山本サンもですか?』

なんか、ヘンに意識しちゃって声が上擦ってるよぉ。
ハズカシイ−−−−……

『お互い苦労すんな。こんな奴らのツレで。』

『もう、慣れましたけどね。愚痴を聞かされるのも惚気られるのも。山本サンもじゃないですか?』

私も前に視線を向けた。


ホントに二人には振り回されることが多いけど、でもやっぱり、二人が一緒にいて幸せそうだと私も嬉しいし。

自然と笑顔になれる。


『ま、慣れるわな。晃は真麻ちゃん以外に興味すらないから。−−−ってかさ、アオイでいいよ?』

『ふぇ?』

『クックッ。すんげぇ、顔してる。』


山本サンはそう言いながら、今度は私の頬をつまんだ。


『――っ!ひょ・ひょっろ…ひらひれす−−−…。』

『プッ、何語だよ。』


わ、わ、笑われたぁ−−−−−!!


『ちょっ!山本サンがそんなコトするからじゃないですかぁ!もぉッ!止めて下さいよぅ…』

私は真っ赤になって、つままれた頬を抑え少し涙目になりながら訴えた。



『あ、また【ヤマモト】って言った。』

『ひゃぁ!――っん!な、なにするんですかっ!?』

『ん?耳まで赤いから、どうしたのかなぁーと思って。』


そう。
山本サンは私の耳に触れたんだ。
ちょ、ちょっとぉ−−ッ!



なんか、キャラ違うくないですか???

もっとクールな人かと思ったんだけど!



か、か−− 軽いよね?