どのくらい目を閉じてたんだろう。

されるがまま、わたしは目を閉じて身を委ねてた。

絡まってくる舌、鼻に香る涼風くんの香水。


しばらくして唇は離れた。


「はぁ…コレか。修二の約束っての。」


そう言いながらわたしをギュッと抱きしめてきた。

わたしは腕を胸の前に曲げたまま抱きしめられてて…。


「やられた。あのヤロー。」

そんな乱暴な言葉を言いながらも優しく抱きしめててくれた。


「菜穂、これからはまじで俺のこと頼れよ。何の為に付き合ってんのかわかんねーだろうが。」


それにわたしは大きく頷いた。


「よし、じゃあ償え。」


そう言って涼風くんはわたしを離した。

そしてわたしの顔を見てすぐプッと笑った。


「お前、顔すっげー赤ぇ。まじウケる。」


そう言われて恥ずかしくて両手でバッと顔を隠した。

わかってたけどそんな言われたらまた赤くなっちゃうんだもん。

でもその手はすぐ離されてまた顔が近くに寄ってきた。


「菜穂からキスして。」

わたしが背伸びしたら届くくらいの距離まで顔が迫ってきた。

首を振ってもその首を収めてくれない…。


「首がいてーだろーが、ボケ。早くしろ。」

そう言ってまた顔を近づけてくる。


背伸びして…軽く目を閉じて…初めてわたしから人にキスをした。


ううん、キスしたかった。