「出ないわね。」

鈴ちゃんが言うその言葉がまた一層胸を締め付けた。

でもそのときだった。


「あ、涼風?本田だけど。うん、そうメガネの。」


涼風くんが出たらしい。

ちょっとだけホッとした。

鈴ちゃん、どんなフォローするんだろ。


「あのね菜穂、誰かにメルアドまわされて変な男らからヤらせろ。とかメール来てるから危険なの。だから部屋から出せないから会いたいんならあんたが来てね。じゃ。」


多分一方的だろうな。

ピッと鈴ちゃんは携帯を切った。


「わたしも言ってたがいいと思うよ♪彼氏だし。」


涼子ちゃんはベッドの端に座って足をパタパタさせてた。


わたしは呆気に取られてた。

言ったほうがいいような気もしてたけど涼風くんなんて思っただろう…とか。

どうしよう、めんどくさい女って思われたら…とか。

いろんなことが頭の仲を交錯してた。


「菜穂、言ってたがいいことなの。あんた言いたいけど言えなかったんでしょ?」


鈴ちゃんにはなんでお見通しなんだろう。

ニコッと笑って携帯を返してくれた。


「あ、うん。ごめん、ありがと。」


そう言った瞬間また携帯が鳴った。

相手はもちろん涼風くんだった。