それから毎日、菜穂は屋上に来た。

飲まないって大体気付くだろうにわざわざ毎日コーヒー牛乳を買って。


喋ることはほとんどない。

でも菜穂は毎日来た。

楽しくもないだろうに。


毎日俺の横でコーヒー牛乳を飲み、俺がタバコを吸うのを何度か注意してきやがった。

シカトしたけど。


でも、ヤバイくらいの笑顔をたまに見せてその度に高鳴る俺の胸に自分でイラついてた。

でもいいことだってある。


それはあいつの気持ちに気付いてきたこと。


目線が…と思うとあいつは俺を見てるし、毎日犬みてぇに付いて来るし。

俺の嫌いなギャーギャーうるさいタイプの女じゃなくてよかったと思う。

菜穂がそんななる姿、見たくもねぇから。

嫌いになりたくねぇから。


そして肝試しの話を嬉しそうにする菜穂を本当に可愛いと思った。

だから”ましなほう”って普段言わねぇようなことも言ってしまったし。

でもその言葉を言った後、菜穂が嬉しそうだったし、機嫌よかったからわかりやすい奴だなっておもしろかった。