ヤバイと思った。

俺らしくもねぇって。

俺がなんで…話すだけで緊張してんだって。


だから強がった。


先に屋上を出たのも俺。

登れねぇあの女を手伝うこともしなかった。


関わりを持つと俺らしくなくなる気がしたから。



でも俺が屋上から帰るときすれ違った男。

そいつはよくあの女と一緒にいる軽そうな男だった。

手にはジュースを持って嬉しそうに登っていく。

まるでその先にいるのがあの女ってことを分かってるかのように。



立ち止まった。

しばらく考えた。

俺らしくなくなるし、行かないがいいに決まってる。

行ったら俺じゃなくなる。

あの女がどうなろうがどうだっていい。

もしかしたらヤることが好きなのかもしれねぇし。



…なら俺が……━━。


いや、今のは嘘だ。

俺はやっぱり認めたくねぇけど、2人にさせたくない。

俺の場所でもある屋上で。