「あいつ、優しかった?」


突然の問いに戸惑いながらもわたしは小さく頷いた。

それにフジくんは少し笑いながら


「そっか。」

と言った。

そのときちょうど来たコーヒーを飲みながらまた口を開くフジくん。


「あいつが女に優しくするのは2人しか知らないから、俺。本気で好きだったんだろうな。でもさ、俺思うんだ。」

そう言うと台の端にあったアンケートの紙の裏においてある鉛筆で書き始めた。

そしてそれをわたしに見せる。

そこには”輪廻転生”と書いてあった。


「あいつなら絶対人間にまた生まれ変わる気がするって。」


「わ、わたしも!!」


初めて喫茶店で口を開いた。

そういわれたらそんな気がする。

壮陛なら厚かましくまた人間っぽいもん。

それにフジくんも笑った。


そしてわたしの目の前に小さな箱を置いた。

濃い青。

このつくりは何が入ってるのか想像がつく。

小さなアクセサリーだろうという。


「壮陛が持ってたってさ。おばさんから預かったんだ。彼女に渡してくれって。」

その箱を震える手で手に取った。

パカッと開くとそこには小さな銀の指輪が入ってた。

見た瞬間、溢れる涙を止めることができず、箱を胸に抱いた。


「誕生日プレゼントだったんだろうね。」


そう言ってフジくんはコーヒーを口に含んだ。