「廉!!やだやだ!!やめてよ!!」


咄嗟にすごく叫んだ。


「どうでもいいけど俺の場所で盛るのやめとけ。他でしろや、ボケ。」


後ろから聞こえてきたのは…涼風くんの声だった。


廉もパッとわたしの顔を固定してた手を離した。


わたしはそんな廉を一切見らずにすぐ立ち上がり、涼風くんの横を素通りして階段を降りた。

そしてまた窓の前に。


今度は手だけじゃなく…足も震えてる。

こわかった。

本当に奪われるって思ったから…。


もちろんうまく登れるわけがない。


「クリスちゃん、向こうから手引くわ。登れんのやろ?」


後ろから聞こえてきた廉の声にビクッとした。

あんたのせいで震えてるのに…。

怒りと恐怖で口が動かない。

そして何も言わずどくと、廉はスッと登って行った。


その時、窓をガラッと後ろから閉めて鍵を閉めた。

わたしじゃなく…涼風くんが。



「ちょ、クリスちゃん!?」


窓を開けようとするのと一緒に廉の声が聞こえる。


「クリス?お前の名前?」


振り返ったわたしを上から睨んでる。