「そっか…。」

留学を決めたこと、店長は泣きそうになったけど渋々了承してくれた。

そして赤星さんにいつもどおり送ってもらって話したとき、第一声はこれだった。


「ごめんなさい。夢だったから…。」


そう言うわたしに笑顔で微笑み返してくれた。


「いいと思う。頑張っておいで。」


─いいと思う。

この言葉には何が含まれてるんだろう。

壮陛と別れたから行くこと?

赤星さんと付き合うことはできないから行くこと?

壮陛を…忘れるために行くこと?


きっと全部だと思う。


「ありがとうございます。赤星さんと出会えてわたし、本当によかったです。」


「そういうこと…言わないで。ほんとに抱きしめたく…引き止めたくなるから。」

笑顔を消して言う赤星さんにわたしは言葉を失った。

この言葉に対して何かを言えるほどわたしは賢くもないし大人じゃないから。


そしてそのままバイクで走り去った。


赤星さん、本当にごめんなさい。

答えもあやふやだし、あんなにわたしのこと助けてくれたのに。

でもわたしは本当のお兄ちゃんのようなあなたの存在、大きかった。



──幸せに絶対なってください。



そしてわたしの北洋高校の生活が残り少なくなっていく。