壮陛は壮陛の誕生日の翌日、学校に来た。


ガタンと音を立ててわたしの横に座る。

いることはわかってるのに前みたいにチラ見することもできなかった。

話しかけるなんてもっと。


わたしたちの間にはすごい溝ができてた。

グランドキャニオンくらいの。

もう…戻れなさそうなほどの。



「いいじゃない、菜穂。あんたは堂々としてて。別に気にすることもないでしょ。」

鈴ちゃんと涼子ちゃんに気まずいと話したら鈴ちゃんからこう言われた。

堂々とするのはいいけど…やっぱり辛い。

吹っ切れてないのはわたしだけってことも、もうあの笑顔を見れないってことも、休み時間のたびにミス北洋が来たり、壮陛が出かけたりすることも。


「…そうだね…。」

小さな声で涼子ちゃんが言った。

涼子ちゃんといえば最近少しおかしい。

壮陛の話になるとあんなに怒ってたのに最近は全然。

鈴ちゃんもおかしいと思ってるけど自分から言うのを待ってるんだと思う。

涼子ちゃんに無理矢理言わせたりするような人じゃないから。



そんな涼子ちゃんはフジくんとおとといから付き合ってる。

やっとって感じだけどフジくんがちゃんと告白してきたらしい。

毎日登下校をしてる仲良しカップル。

うらやましいというより嬉しい存在。



10月に入り、季節は秋になろうとしてた。