重苦しい空気が流れる。


「てか…お前何やってるわけ?」

不機嫌丸出しの顔。

いつもはポーカーフェイスのくせに感情が出まくってた。

わたしは固まって声も出ない。

目の前にバイクから下りて立った赤星さんが変わりに声を出した。


「誤解?まぁ誤解だとしても元カノと会ってたのはアウトじゃねぇ?」

わたしは赤星さんの後ろの服を少し引っ張った。

「赤星さん…いいですよ。」

わたしの変わりに代弁してくれてるのが申し訳なくて。


「元カノってさ、1番嫌な存在ってわかんねぇの?学校サボって会って、そして昨日は他の子と一緒に帰って。連絡もしなくて。この子の気持ち考えてねぇよな?」

赤星さんはわたしをシカトして続けた。

いつもは穏やかで優しいのにこんな荒っぽい口調初めて。


「お前に関係ねーだろ。」

壮陛も荒っぽく言う。

いけない、ケンカになってる。

しかも理由はわたしのせいだし。


「壮陛、もう…わたし辛いよ。壮陛が何考えてんのか、何やってるのかわかんない。もう自信がないの。」


顔が見れない。

涙をこらえるのが精一杯で。


「…意味わかんねぇ。」


そしてガシャンという音が静かな住宅街に響いた。

自転車を止めてるのをはずした音。

前を見ると壮陛が自転車に乗って去っていく後ろ姿。


思った。

終わったんだって。

とうとう終わってしまったんだって…。

壮陛に言ってもらうつもりだったのに耐え切れずわたしから言ってしまった。

好きだった。

でもこうしなきゃきっとわたしがもたない。