「菜穂ちん、行こう!!」

鈴ちゃんが離したわたしの手を次は涼子ちゃんが握って歩く。

鈴ちゃんも多分わたしと同じことを察知してる。


「あいつ、バカにしてる!!!」

当の本人のわたしが知らないという不思議な現象。


「涼子ちゃん、落ち着いて。」

ほんと逆の立場に変わったみたい…。


涼子ちゃんはコンビニからまたバス停に戻ってちゃんと口を開いた。


「あいつ、ほんと最低だよ…。さっきのは元カノだってさ。何人の女と…。」


その瞬間言い表せないくらいのショックが襲い、目の前が真っ暗になった。

あの人が元カノ?さつきさん?

車椅子だったの??

もう訳がわからずハラハラと落ちる涙。


「菜穂、もういいじゃない。忘れなさい。」


違うの。

わたしに見せたあの笑顔。

照れた顔。

すべて嘘だったのかと思うと…。

怒りじゃない、これは虚しさ。

あのわたしが最高に幸せだった期間、あれも…??


「いい勉強になったじゃん!!」

涼子ちゃんまで泣き出してた。

「もう…やめなよ。元カノに会うような奴は最低だよ。彼女いるのに。」

わたしをまたギュッと抱きしめてくれた。

大声で泣いた。


しっかりしなきゃ。

これ以上迷惑かけちゃいけない。

でも涙が止まらなかった。