気まずいけど言葉が出ない。

俺、気使いすぎだろってくらい気使ってた。


「聞いたと思うけどさ…わたし義足になっちゃって。」

はにかんだ笑顔で皐は俺を見ながら言った。


「聞いた。」

それしかいえない。

軽々しく「大変だったな。」とか「きつかったろ?」とか言えなくて。


「こうなるってわかってたから…別れ選んだの。嫌われようって…必死で。」

声が震えてたのがわかって皐を見た。

目から大粒の涙をこぼしてた。

やっぱりと思ったけど俺にはどうしようもない。

黙って皐の口の動きを見ながら聞いた。


「傷つけて…ごめんね。わたしのせいで…。恨んでただろうに会ってくれて…ありがとう。」

手を握ってやればいい?

頭をなでてやればいい?

抱きしめてやればいい?

そうしたら皐はもっと泣くだろう。

でも期待するだろう。

俺にはこれしかないんだ。


「いいよ。俺はもう大丈夫だから。」


期待だけはさせちゃいけない。


「わたし…ずっと寂しかった。壮陛に…会いたかった。ずっと。」


…━━もう言わないでくれ。


「わたし…ずっと、壮陛が好きだった。今でも変わらない。」


…━━聞きたくなかった。


「うん。」

それしか言えなかった。

マサシは皐が泣いてるのがわかったのか、暫く帰ってこなかった。

俺らはずっと黙ってて、マサシが帰ってきたのと同時に解散した。

また会ってという皐の言葉に頷いて。


これでよかったのか。

いや、こうするしか…なかった。