足があるようにしか見えなかった。

それが義足だとわかってても。


「何謝ってんだよ。お前顔、全然変わってねーな。」

無理して笑った。

俺が無理して笑うなんていつ以来だ?


マサシが不安そうに俺を見てる。

頼むから酷いことと、思わせぶりなことは言わないでくれって目が訴えてる。

わかってるよ。


「来てくれてありがとう。」

笑顔は全然変わってなかった。

変わったのは俺の気持ちと、皐の足だけ。


ベンチに移動して、マサシと俺が並んで座り、目の前に車椅子のまま皐が来た。

足を見ないようにする以上、顔を見てるしかない。

でも顔を見るのが嫌だった。

皐が俺の顔をすごく見てるわかってたから目が合うのがわかってた。

だからずっと公園を眺めてた。


俺らは中学のバカ話ばかりしてた。

ただ、付き合ってたときの話、別れたときの話を省いて。


マサシはバカだったからよく学校でタバコ吸って先生に追われてた話、親呼び出されて次の日ボコボコにされて来た話。

皐は昔の声のまま、大笑い。

俺も久々に思いだして笑った。


2時間くらい話した頃。


「俺、トイレ行ってくる。」

バカやろう、2人にするなよ。

そう思っててもマサシは俺の心が読めずトイレに行く。


いきなり沈黙になる俺ら。