何話してんだよ。

さっきからお前全然こっち見てねーよな。

ずっと菜穂は男と喋ってた。

笑顔を見せながら。


菜穂が注文をとった後、苦手なこの女には俺の考えは察知されてたらしくまたやられた。

「菜穂、あんまり男の人と喋っちゃだめよ。涼風がさっきからソワソワしてるから。」


「なっ!!!!!」


勝手に口から出た言葉だった。

またやってくれた、本田の奴。

しかもまた反論できねーし、俺。


「さっきからチラチラ見てみっともない。あんただって毎日してることなんだから堂々としてなさいよ。」


あぁそうか。

この状況を菜穂は毎日見てるんだ…。

あいつが辛い思いしてるって今更ながら身にしみて感じた。

何も言えず俺は黙ってた。

悪かったって思いながら。



「ねぇ、涼風。あんたさ、追っ払えない状況はわかるけど今のでわかったでしょ?菜穂の気持ち。あの子、これ毎日、しかもずっとよ。」


菜穂が去った後、本田がいつの間にか本じゃなくて俺を見ながら言った。


「そうよ。あんたさぁ、追っ払えない状況なの?ガツンと言いなよ、ガツンと。迷惑って!!」


次は青木まで。

あぁ、こいつらまじで苦手だ。


「めっちゃおもれー!!壮陛がめっちゃ困ってる!!」


フジは助けるどころか笑ってるし。


「それよりさ、俺思ったんだけどあのバイトの男、ほんとイケメンだよな。しかも菜穂ちゃんとよく話してるよな。でさ、菜穂ちゃんの顔よーく見ながら話してるよな。意味、わかる?」


「「は?」」

不本意ながら青木とかぶって言った。


「お前ら鈍感だな。多分あいつ…菜穂ちゃんに気があるな。」


フジがこっそり指差す方向には高3の奴と見られる奴がいた。