「バカじゃないもん。じゃあ聞くけど…──」


ミス北洋とのこと、聞こうと思った。


「木下のこと?」


先手を打たれた。

わたしが気にしてたこと気付いてんじゃん…。

それに頷くと


「やっぱそれか、おまえがご機嫌ななめなのは。」

そう言って笑った。

ムカッとして唇をとがらせたら


「バイトの指導係があの人で、入り口わかんねーから教えてくれたり…んーなんか色々!!なんもねーよ。一緒にバイトに行ってるだけだし会話もほとんどしてねーよ。」


そう言いながら笑う壮陛。


「なんで…そんな笑うの??」


「おまえがおもしれーから。」


こんなに悩んだのに。

あんなに泣いたのに。


「笑わないでよ、バカ…。」

わたしまでおかしくなってきちゃった。

ううん、おかしいんじゃなくて嬉しいんだ。

何もないって言ってくれて、話してないって言ってくれて。

ホッとしたんだ。

壮陛はわたしの心配もしてくれたし。


「んなことよりおまえ、終わったら連絡しろよ。」


そんな話してたらいつの間にか終わってた休み時間。

先生が入ってきた。


その日、終わると壮陛はまたミス北洋と一緒に出て行った。

もうあの光景みても心が全く痛くないとはいえないけど、昨日より全然楽。

壮陛とちゃんと話してれば昨日泣かずに済んだのに、なんて思えるくらい心が軽かった。

そしてバイトまで時間があったから壮陛とのことを2人に全部話した。

涼子ちゃんは

「なんかあの女が手出したらわたしがつぶす!!」

とか外見とは似合わないこと言ってた。