「いいの、気にしないで。それよりゴハン食べよ食べよ。」

わたしは笑って見せた。


「でもっ──…」


「涼子。菜穂は聞きたくないってことよ。空気読みなさい。」


そう言って鈴ちゃんは涼子ちゃんを止めた。

聞きたくないもあるし、壮陛のことをこれ以上考えたくない。

苦しいから。


「ごめん、菜穂ちん。わたし──…」


「ううん、涼子ちゃんありがとう!嬉しいよ、わたしのために。でもほんともう気にしなくていいから…。」


そう言ってみんなでゴハンを食べた。

会話の中心は昨日あってたドラマの話。

きっと2人とも壮陛との話を聞きたいはずだけどわたしが言うまで待っててくれてるのがわかった。

ありがとう、本当に。

心から感謝するけどもう少し待ってね…。

それがわたしの本心だった。



昼休みが終わって本鈴の前に壮陛が戻ってきた。

わたしを全くみらずガタッという音と同時に少しだけ視界に入る。

右側の肩がうずく。

壮陛のほうみたいから。


「で、おまえのバイト先はどんなとこなん?」


いきなり壮陛が話しかけてきた。

壮陛の方を見るとわたしの方に顔を向けてる。


「え?」


「え?ってなんだよ。バイト今日からなんだろ?どんなとこ?」


あまりに普通に話しかけられたから驚いた。

そしてわたしも普通を装って話した。

6時から10時までってこと、従業員はその時間帯は4人ってこと。

そして全員…男ってこと。