「壮ちゃ~ん、ゴハン一緒食べ行こうよ~。」


朝から壮陛と一言も話してない。

目も合わせてない。

そんな昼休み、前の入り口から響いた甲高い声。


壮陛はガタッと席を立ち、無視するように後ろのドアから出て行ってた。



「ちょ、ちょ、ちょ、何なの!?あれ!!」

涼子ちゃんがただでさえ丸い目をさらに丸くしてわたしにつめよった。

腰を曲げてわたしをたたく仕草はテレビで見たおばさんみたい。


「さぁ…なんだろうね。」

そう言ってわたしは弁当箱を開いた。

鈴ちゃんは何も言わず傍観。


「てかあの女、絶対狙ってんじゃん!!彼女いるって知ってるのかな!?ちょっと待ってね!!情報確認。」

そう言って涼子ちゃんは携帯をピコピコといじり始めた。

わたしは下を向いて弁当を食べる。


壮陛、朝から目もあわせてくれない。

昨日喧嘩しちゃったししょうがないよね。

でもあんな風にミス北洋が来るとこわいよ。

もう、終わっちゃうんじゃないかって。

説明してもらって仲直りしたいんだ、わたし。



「はぁ!?」

いきなり涼子ちゃんが携帯を見て怒鳴った。

ドスのきいたこわい声。


「うるさいわね。何なわけ?」

不機嫌そうに鈴ちゃんが聞くと


「今、フジにメールで聞いたんだけど、あの女フジと壮陛とゴハン食べてるって。」


鈍器で頭を殴られた。

そんな感覚だった。

誰でもわかる。

ミス北洋は絶対壮陛に気があるって。

じゃないとあんな大胆に近づいたりしないよね。

しかもあんな美人に好かれる壮陛は嬉しいはず。