菜穂は髪をキレイに戻しながら


「約束だよ?絶対だよ?」


って念を押す。

嫌われたくないしな…。

泣かれたくないしな…。


「わかったって言ってんじゃん。しつけーな。」


そう言って自転車の方に向かった。

そろそろ家に戻さねーとヤバイだろうし。

親が出てきたりしたらまずい。


「帰るの?」


寂しそうな顔をして聞く菜穂。

帰りたくなくなるけど帰らないとヤバイのは…


「帰るのはお前。」


そう言ってチャリにまたがって


「ほら早く家入れ。」


ってシッシッとした。


「もぉ~、邪魔者みたいな扱いして…。」


ふてくされて頬を膨らましながら家の玄関に向かって行く。

本当は俺だってもう少し話したいけどな。


「じゃ、また明日な。」


「ね、約束しない??」


いきなり菜穂が言い出す。


「だから言わねーって言ってんじゃん。しつけーな…。」

言わないってのを言ってるって思ったら


「違うって!あの…その……別れるときは必ず…キスするって…。」


恥ずかしそうに下を見ながら言う菜穂。