空気が重い。

菜穂もすごく言い出しにくそう。

やっぱり俺が想像してた通りなのかもしれないって覚悟を決めることにした。


昨日菜穂が言ってた疲れたって理由くらいじゃこんなに言い出しにくいはずはないし。


「悪かったって思ってる…。元カノさんのこと、フジくんに聞いたの。」


「はぁ!?」


俺は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

元カノ!?

何の話だ…。



「だ、だから…フジくんに聞いたことだよ。え、それ聞いてそれで怒ってるんじゃないの??」


「え、いやそれは知らなかったんだけどさ…──。え、聞いたの?」


そう言うと菜穂はしまったとばかりに下を向いた。

どうやらコイツは何か思い違いをしてたらしい。

バツの悪そうな顔してる。


皐のこと、聞いたってことだよな。

かっこわりーから言いたくなかったのに…。



「ゴメン…。それで昨日は…──」


「俺に同情してあんな態度とってたわけ??」


そう思うとちょっとムカついてきた。

修二が言ったってこともだけどその後の菜穂の態度が。

顔は見るからに不機嫌だったと思う。

意識もしてた、不機嫌そうな顔をするのを。



「違っ!!だって…フジくんがキレイでスタイルよくて元気な人だったって聞いて…自信なくなってきちゃって…。勝てないだろうって。壮陛はわたしでいいのかって…。」


そう言うと目をこすり始めた。

泣いてるらしい…。

バカだな、ほんとにこいつ。


呆れたけどほんとに可愛くて…。

だけどこんなことだったって知ったら意地悪したくなった。

聞くなって言ったのに聞いたから罰だ。