家の近くについて電話をかけた。


「もう外にいるよ。」


驚きの言葉。


「はぁ?危ねーだろうが。どこ?」


ちょっと声を荒げた。

でもそれに動じる様子もなく


「家の前だよ。友達が忘れ物持ってきたって言ってるから大丈夫。待ってるね。」


その危ないの意味じゃないんだけど…。

あいつは他の危ない奴に襲われたりするってより親が怖いらしい。

それにちょっと笑いそうになりながら家に向かった。


言う通り家の前に菜穂の姿。

チャリの音に気付いたのか菜穂が駆け寄ってきた。



「壮陛っ。」


走ってきて止まった俺の右手を掴みながら何度も菜穂はゴメンって言った。

疑問をぶつけることにした。



「そのゴメンってさ、何のゴメン?」


別れたいからって言うなよ、頼むから。

神に願う気分だった。

でも菜穂はすぐに言ってくれくれなかった。


下を俯きながら言いにくそうに口を開く。


「あ…あの…ね…。」


歯切れが悪くて聞いててイライラしてきた。

睨むように菜穂を見てしまい、菜穂もそんな俺に気付いて観念したかのようにフッと息をついて話し始めた。