夜に菜穂からメールが届いた。

9時前。

もう門限とっくに過ぎてるし家なんだろう。



【今日はごめんね?怒ってる??】


お伺いをたてるようなメールだった。

怒ってるんじゃないよ。

いじけてるんだよ。

ガキみたいな奴なんだよ。

おまえがわかってないだけなんだよ。



もう限界だった。

電話をかけた。


──プルルルル


──プルルルル


コール音がまどろっこしい。

すっげー短気になってた。



「もしもし??」


菜穂の声が聞こえた瞬間やっぱりホッとする自分がいた。



「なぁ、今からさ、俺が行くから…ちょっとだけでも会えない?」


無理な願いだとわかってる。

あいつの親は厳しいっていつも聞いてるから。

でもどうしても顔を見て話したかった。

チャリだったら飛ばせば20分で行けるはず。



「──…わかった。どうにかする!!」



心強い菜穂の声。



「無理はするなよ?」


「しないよ。」


笑いながら菜穂は言った。

そして電話を切り、俺はチャリを飛ばした。

夏の暑い夜、汗だくになるのをわかってながらこぎまくった。