「ち、違うよ。壮陛は何も…。」


「じゃあ何?疲れたんじゃないだろ。お前さっきからさ、表情暗いし話さないし、上の空だし。」


きっとフジくんから聞いたわけじゃなさそう。

理由聞かれてるけど言わなきゃいけないんだろうか。

フジくんには口止めされてるし…。


まただんまりのわたしに呆れたのか、タバコを足で消して立ち上がった。


「もういい。」


そう言ってわたしの目の前を素通りして歩いていく。


「待って!!」


やっぱり行かせたくないわたしは追いかけて後ろから手を引っ張った。

それを強引に振り払って壮陛は歩いて公園を出ようとする。

でも言えないよ、過去知ってこわくなっただなんて。

話したがらないのは知られたくないってことだもん。

フジくんとも約束したし。

何か口実…


でも思いつかなくてどんどん壮陛は離れて行く。

振り払われた手にだけ壮陛のぬくもりが残ってる気がした。



言葉が出てこない。

何を言えばいいかわからない。


そして公園から壮陛が出て行くのが見えた。

追いかければいいのにその勇気がなくてわたしは立ち尽くしてた。