聞いちゃいけないのかな??

壮陛の過去もっと知りたい…。


「それって、いつくらいに別れたの??」


フジくんはまた目線をはずして言った。


「中3の秋くらいだよ。皐は…壮陛をみんなの前でコケにしたんだ。」


コ…ケに??

また黙ってるわたしにフジくんは続けた。


「ガキだろ、まだ。今でもだけど中学とか人の目が気になってしょうがないよな。皐な、違う男とよく遊んでたらしくて。そしてその男は金持ってた。だから乗り換えたんだ。そしてその後、クラス全員に聞こえるようにその事と壮陛の悪口を言った。」


わたしはヒドすぎて口を押さえた。

あの壮陛がそんなことされるなんて。

考えられない。

あんなに素敵な人なのに…。


「自己中に変わったんだ。女はいらない。遊べるやつだけでいい。本気になりたくないって。」


「…そうだったんだ。わたし、聞こうとしたら怒られちゃって…。」


「あいつにとっちゃあれはトラウマだろうからな。」


そう言うとフジくんはポケットからタバコを取り出した。

そして火をつけ煙をはく。


「俺から聞いたって言わないでね。」


最後にまた口止めされた。

そろそろ戻ってくるだろう。

これで話は終わりってことだと思ってわたしは頷いた。


「ありがとう…教えてくれて。」


そう言うとトイレの方をフジくんは見た。

わたしも見ると壮陛がこっちに歩いてきてた。


普通の態度、普通の態度。

今のは聞かなかったことにしなきゃ。


自分に言い聞かせた。