そんなものはとっくに通り越して忘れてしまっていた。

お金。
中学三年の春に始めた新聞配達。
高校一年から始めたアルバイト。

あの苦しかった昔の影響が俺や兄貴を苦しめるんだ。
誰を憎めばいい。

兄貴は長男だし、人間的にもいい遺伝子を繋いでくれる。
俺はその踏み台になると決めてたんだ。

だけど、その約束守れないかもしれない。
俺が死ぬか、兄貴を忘れるか。
事はそこまできていた。


頼む。
兄貴だけでも幸せになってくれ。

任せたぞ。