だから誰にも負けなどしないと思っていた。

どんなに疲労困憊だろうと、どんなに孤独だろうと、常に一人ぼっちなどではなかった。
財布の中に閉まってある一枚の写真の存在。

ある日、一緒に帰る最中の駅前にあった自撮りの撮影機で撮らせたのだ。
写真の中では大好きな麻衣が微笑み、いつも傍にいてくれていた。
だから決して一人ではないのだと。

こうして写真の中の麻衣は、いつも涼を助けてくれていた。
誰かが涼を呼ぶ。

静かに作業場へと戻っていった。