【当日】

荷物の整理は済み、部屋はすっかり何もなくなった。
涼はこのアパートを今日付けで出ることになる。

最後の晩餐を楽しもうと、調子を崩さない程度のものを並べて食べ始めた。
口に頬張る度に目が潤む。

これまでの人生を振り返って、溜まったものが目から溢れ出てきた。
どうしようもない状況に逆らわず、涼は流れ落ちる涙を放置していた。

あの後、兄からは電話の着信が頻繁にきていた。