フロアに入る。

視界の隅で、佐々木さんのデスクをとらえる。



佐々木さんは 居なかった。


ホワイトボードの佐々木さんの行には
『本社』
との 二文字。


馬鹿みたいだ あたし。

何の為に こんなに 厚塗りしてきたんだ!?

何の為に、あんなに心臓を鳴らしたんだ!?


本当に 馬鹿みたいだ。

あたしは いつだって、こうして一人で 馬鹿みたいに 空回りしてるんだ。


佐々木さんは メールをくれないどころか、一日 会社に現れない日だって、
連絡の ひとつだってくれやしないじゃないか。


あのキスは 何だったのだろう…。


あたしだって、佐々木さんと付き合ってるつもりはないけれど…。


でも、普通の 関係でもないよね?


あたしの頭は、また 佐々木さんとのキスで いっぱいになる。


あたしの頭は 堂々巡りばかりー。