その次の日。

教室に行き自分の席に座る。
斜め前にいるはずの凜子に、何となく違和感を覚える。

俺に気づいて振り返った凜子はえへへ、と恥ずかしそうに笑った。
昨日胸の方に垂らしていた、綺麗に巻かれた髪が、肩くらいの長さになっていた。

「おはようトモキ。」

いつも通りに接しているつもりなのだろうが、いつも真っ直ぐに俺を見る目が、この時はいくらか伏し目がちだった。

そんな凜子を見た瞬間、ずっと胸の中で燻っていたひとつの思いが、しっかりと形を持って、俺の心にズシリとその存在を知らしめた。

不思議と心地好いその胸の痛みは、今までに感じたことのないものだった。




俺は、凜子が好きだ。