「んー…。ごめんなさい。
私、男の子とはなるべくアドレス交換しない事にしてるんだ。」

「えー何で?」

「色々あって…。男の子は本当に仲いい人だけなの。」

その子はニコッ、と笑いながら謝った。

(変わった女もいるんだな。)

単純にそう思った。
あんな母親を見てきた俺にとっては、ちょっと衝撃だった。

「じゃぁさぁ。」

女子のそんな反応にもめげず、保は反撃に出た。

「俺ら友達になろうよ。
…3人で!」

3人?
保を見守るのも飽きて昼寝をしようとしていた俺は、その言葉に引っかかった。
ちらっと保を見ると、保は俺を指さしてる。

「え?…俺?」

「うん。俺と、君と、あとこいつ、トモキね。
俺ら3人、今日から友達~、みたいな。ダメ?」

保の「ダメ?」はもちろん、俺に向けられたものじゃない。
何で俺が巻き込まれるんだ…。しかも俺には拒否権なし。

「うん、それは全然いいよ~。」

女子はまたにっこりと笑った。
保は嬉しそうにしていた。

「やった!で、君名前は??」

「帯谷凛子だよー。」


…これが、凛子との出会い。
完全なとばっちりだったけど、今思えば、人生で最高の出会い。
まさに棚からぼた餅…いや、棚からダイヤモンド的な出会い。