その頃の俺は正直、恋愛に関してはカナリ冷めていた。
女なんてくだらない、そう思っていた。
いつも女のケツを追い回している保と仲良くなったのは何でだろう。
未だに不思議だけど、俺たちは高校の入学式で出会って、それからずっとつるんでいる。
話したきっかけすら忘れるほど、俺らは初めから自然体だった。

そういえば、凛子に最初に話しかけたのは保だった。


まだクラスメイトの顔の半分も分からないくらいの頃、休み時間に俺の席の近くに来て、保が耳打ちした。

「あの子可愛くねぇ?」

保が見ている方向は俺の斜め前の席で、3人くらいの女子がアドレスを交換していた。

「どれ?…あぁ、可愛んじゃね?」

正直俺は、3人のうち誰を言ってるのか分からなかったし、誰を言っているか分かったとしても、どうでもよかった。

「だよなぁ。
…ねぇねぇ!」

保も多分、俺の返事なんてどうでもよかったんだと思う。
すぐにその女子の輪に声をかけていた。

「俺ともアドレス交換しよー。
俺、矢内保。よろしく~。」

突然の保の提案を、2人の女子は抵抗なく受け入れた。
保の顔なら、きっとみんなそうするだろうと思った。
だけど、1人が違う反応を示した。