「大丈夫だって!
1年間くらいクラスに友達いなくたってなんとかなるでしょ。
お弁当は2年の時の友達と食べればいいじゃん!」

そういう姉も3年前に同じ高校を卒業した一人。
姉は“逆”島流しを経験している。
先生の勧めで、専門進学コースから国立4大コースに出世した。
…それなのに結局短大に進学したのだから、何の意味があったのか分からないような気もするけど。

「それにどうしようもなくなったら彼氏作ればいいんだよ〜」

「お姉ちゃんと一緒にしないでくださーい。」

姉は3年生になってからの友達はいないらしい。
それでも卒業までを楽しく過ごせたのは、同じクラスに彼氏ができたからだと、自慢なのかどうか微妙なことを、何度も聞かされていた。
そしてその彼氏である大祐さんとは、こうして今も続いているのだから、素敵なことだとは思う。

「何よー。せっかく心配して助言してるのに可愛くない妹だなぁ。」

「はいはいありがとうございまーす。
大祐さん駅で待ってるんだから早く行きなよ。」

「分かったわよ。
たまきも頑張りなさいね?
じゃあね。」

ひらひらと手を振ってヒールを鳴らし軽やかに去っていく姉を、私は少し羨ましい気持ちで見送った。