部屋のドアが開く。

「…トモキ!?寝てるのか?」

聞き覚えのあるその声は、おやじのものだった。
一気に広がる安心感で、おやじが何故いるのか不思議にも思わなかった。

「起きてるよ。空き巣かと思った。」

「驚かせてごめんな。
お前に大事な話があって。ちょっといいか?
居間に来てほしいんだ。」

いつものおやじとは全く雰囲気が違った。
普段は自信に満ちたおやじが、焦っているようだった。
俺はその雰囲気に浸食されて、緊張しておやじについていった。

ソファに座ると、

「まず…出張と嘘ついた事を謝る。すまん。」

おやじは嘘や曲がった事が嫌いだった。
理由がある、やむを得ない嘘でさえ嫌う。

「いや、別にいいけど。なんか訳があるんだろ?」

俺の問いかけに応えず、おやじは大きな白い封筒を取り出した。

「お前には見せなきゃいけないと思うんだ。」

封筒をテーブルの上で逆さにすると、無数の写真が出てきた。