初めて4人で昼休みを過ごしてから、1週間が経った。
凛子とたまきちゃんはいつの間にか、お互いを呼び捨てするようになっていた。

昼休みの頭、凛子が珍しく申し訳なさそうな顔をしていた。
「トモキあのね。
今日の放課後、たまきと遊んできていい?」

「何しに行くの?」

「駅前にケーキバイキング出来たじゃん。
あそこ、行きたいねって話してたんだぁ。」

「おー、いいじゃんいいじゃん。
いってきなー。」

凛子は甘いものが大好きだ。
ケーキバイキングは前々から行きたいと言っていたのを思い出す。
正直俺は甘いものは嫌いだから、たまきちゃんと2人で行ってくれて助かる。
それに、凛子が女の子と2人で遊びに行くのは珍しいから、俺もなんだか嬉しい。

「じゃぁ凛子お借りしまーす。」

割って入ってきたたまきちゃんは、俺にも自然な笑顔を見せてくれるようになった。
最初は人見知りをしていたのだろうけど、それさえ解ければすごく明るくてノリもいいし、面白い子だ。
美樹とかより信用もできるし、今まで深い仲の友達がいなかった凛子がこんなに仲良くしているのもうなずける。

「んなら俺は、保と遊びに行くかなー。なぁ保。」

「俺は今日デートですぅ。」

保はそう言いながら俺の弁当の唐揚げを指でつまみ口に入れた。

「おい、俺が唐揚げ好きなの知ってんだろ?」

「ん~っ。りんりんの唐揚げうめーっ。」

もぐもぐと口を動かす保が急に憎たらしくなり、くびをぎゅうぎゅうと締めてやった。
バタバタと足を動かして必死に抵抗する保を見て、凛子とたまきちゃんも笑っている。

「ほらトモキー。
あたしの唐揚げあげるからもうやめなよぉ。」

「マジっ!?」

凛子の優しすぎる取引に俺は大賛成で乗っかった。
パッっと保の首から手を外すと、保はまるで漫画のように大げさに咳込んだ。