ふと保がこちらを見やった。

「…あれ?その子だぁれ??」

どうしたらいいのか分からず突っ立っているたまきちゃんの背中を押して、俺たちも保の近くに座る。

「誰誰?」

目をキラキラと輝かせながらたまきちゃんを見る保に向かって、凛子が嬉しそうに喋り出した。

「この子は小野町たまきちゃん。
凛子の前の席の子だよ。ねっ。」

「うん。はじめまして。たまきです。」

「たもっちゃんでーす。
俺こんなだけど、意外に硬派だから仲良くしてね。」

「えー。たもっちゃんは硬派じゃないよー。
たもっちゃんチャラ男だから、たまきちゃん気をつけてね?
たまきちゃんに手ぇ出したら、凛子がたもっちゃんのこと成敗するから!」

「うわーりんりんひでぇ。」

しゅんっと哀しそうな顔をする保を見て、たまきちゃんはケラケラと笑っている。

そこからたまきちゃんに質問したり、他愛ない話をしたりして、たまきちゃんは案外簡単に俺らに打ち解けた。

「なんかよかったー。
凛子ちゃん、お弁当誘ってくれてありがとね。
保君もトモキ君も絡みやすくてめっちゃ楽しい。」

「保君はイケメンだしね。」

「んー、ごめんそれはない。」

保のボケにもちゃんとツッコミを入れられるくらいだ。
保は保で、たまきちゃんのツッコミに対する反撃のつもりか、たまきちゃんをくすぐり始めるし。

「やー、たもっちゃんセクハラー。」

それを見て笑う凛子もすごく嬉しそうだ。
凛子が喜んでいる顔を見れて、俺も嬉しい。
たまきちゃんもいい子だし。
やっぱり凛子の提案は正解だった。