朝のSHRまでは時間があり、凜子はコンビニで買ったファッション誌を読んでいる。
俺は横から
「それは露出しすぎ!」
「それは男ウケ狙いすぎ!」
と、娘を心配する頑固親父みたいにいちいちダメ出しをした。

「ともきち君。
凜子は静かに雑誌が読みたいな。」

凜子にやんわりと言われ、俺は口をつぐんだ。
だせぇと思いつつ、服装や髪型についつい口出ししてしまう。


その時、後ろのドアからたまきちゃんが静かに入ってきた。
俺は凜子の席に近づけていた椅子を、体ごと自分の席に戻し、通り道を作った。

それに気づいた凜子が、たまきちゃんに声をかけた。

「たまきちゃんおはよ〜!」

「おはよう。」

控えめな挨拶が帰ってくる。
凜子は笑顔を崩さない。

「ねねね、今日さぁ、お昼一緒に食べない?」

凜子の提案に、たまきちゃんは目を丸くしている。

「ほら、昨日トモキが失礼な事言っちゃったじゃん?
で、そのお詫びも兼ねて。
たまきちゃんとゆっくり話してみたいし…」

言いながら髪をいじる凜子。
これは照れてる時の凜子の癖だ。