凜子は俺の質問に答えることなく、鼻歌を歌いながら教室に向かう。
俺も深く探りを入れることなく凜子の後を追う。
凜子はたまに突飛なことを言うけど、その提案がハズレだったことは一度もない。


「おっはよん♪」

凜子が勢いよく教室のドアを開けると、すかさず何人かが反応する。
凜子は親友はいないけど、女子からの人気は結構高い。
帰り際遊びに誘われているのをよく目にする。


机に荷物を下ろしていると、教室の前方から、一際大きな声が飛んできた。

「凜子おはー!
今日も犬…じゃなかった、旦那と登校?」

「うおいっ!お前いい加減にしないとなぁ…」

「ともきちお手!」

「わんっ!」

俺と凜子のお決まりのやり取りを披露すると、クラス中に笑いが起きた。
ネタを振ってきたギャルの美樹も笑っている。

俺らは結構こんな感じで、周りからも認められた仲だ。