着いた場所は、街から少しだけ離れたところにある、小さなアパートらしき建物の前だった。

「こっちだ」

彼が建物の中に入っていく。
私もその後について、中に入る。

「ね、ここって…」


もしかして…?


聞いてみると、彼はポケットから鍵を取り出し、アパートの中の一室の扉を開けた。

「とりあえず、中に入れ」

言われて私は頷いて彼の後に続く。

「お邪魔しマース」

小さく呟き中に入る。
靴をぬごうとして、彼がそのまま中に入るのを見て動きが止まる。


…あ、そっか。日本じゃないんだ。


土足文化が一般的で、家に上がるときに、靴を脱ぐのは日本の独特な文化であることは思い出す。


なんか、変な感じ。


よく聞く話なのに、実際に自分が体験したことに少し感動して嬉しくなる。

少し笑いながら中に入った。