暫くして、自分を拘束していた腕が緩む。
恐る恐る振り返ってみると、そこには彼の姿があった。

「あっ…」


どうしてここに?
何で?
どうして??


目の前でついさっきまでと同じ様に、笑っている彼の姿に、私は目を白黒させていた。

「とにかく、見つからないところに逃げるぞ」

そういって、彼は私の手をとると、男達がいた方とは逆方向に走り出した。

「え?あ、わわっ!」

転びそうになるのを何とか踏ん張り、そのまま彼に手を引かれながら、私は彼の後ろを追いかけるようにして走っていった。