「も…だめ……」

人通りも多いところまで何とか出てこれたし、もう、追ってきてないだろう。
そう思って立ち止まり、息を整える。

「はっ…はっ…」

額に浮かんだ汗をぬぐいながら、私はちらりと走ってきた方を見やる。
そこに男達の姿は無い。


よかった。何とか撒けた。


大きく深呼吸をしたその時だった。

「!!!」

声が出そうになるのを必死でこらえる。
前を見た瞬間、人ごみの合間に、2人の姿が見えた。


まずい、どうしよう!


正直、結構適当に走ってきたせいもあって、自分が今いる場所が把握できていなかった。
当然、ホテルへの帰り道もわからない。




私はもう、半分あきらめつつあった。