「それにしても…よっぽど相性いいのかなー」

軽く自己嫌悪に陥りつつも、また、うーん、と首を捻りながらまた歩きだしながら、不意にそんな事を思った。


同性異性、友人恋人、身内他人。

どんな関係だろうと、自分にとって合う・合わないは絶対に存在する。親友とは合っても、親友の友達とは合わなかったり、母親とは合うけど、父親とは合わなかったり。


親とすら合わないと感じることもあるのに、たったほんの1日2日でここまでなるなんて、よっぽどかも。



「はぁ、すっご」

最初は彼に対して腹が立っていたのに、今はなぜだか感心してしまい、感嘆の声を上げていた。


アイツと一緒に旅行していたら、こんな出会いは無かったかも知れない。
…言われたのが旅行のあとだったら、絶対この出会いは無かっただろうし。


アイツのことは許せないけど。
でも。

気づけば少し、気持ちが浮上してきている。
何しろ、ふられたばかりなのに、別の男の人が気になり始めているのだ。

「あはは」

もう、私の気持ちも移り始めていることに気づいて、少し笑えた。