「どうかしたか?」

不意に触れてきた彼の右手に、私はびくんと体をのけぞった。


…どんな反応よ!


自分でもかなり恥ずかしくて動揺する。

「くっ…あははは!」

私の反応がツボにはまったようで、大笑いする彼に、私はかなり恥ずかしくなる。

「そ、そんなに笑わなくってもいいじゃない!」

私だって驚くくらいに恥ずかしいのに、彼は何度もこっちを見ては、お腹を抱えて笑う。


…なんか、だんだんイライラしてきたんだけど。


また、彼とバチっと視線が合う。
と、彼は何かを堪えるような顔をした。

「…なに」

「いや、なんでも…っ…あっははは!」


前言撤回。
私、好きじゃないわ。
いくら顔がよかろうと、ドキドキしようと、これはないわ。


「あっそ!もう私帰るし。今日は付き合ってくれてどうもアリガトウ」

べーっと舌を出してそのまま元来た道を戻る。

「あ、おい!」

彼が何かを叫んでいたが、そんなもの、聞く気にもならなくて、私は無視して歩いていった。