「俺も今日は暇だし、一緒に散歩してやる」


お会計を済ませて店の外に出たところで、彼がふと言ってきた。

「え?ほんと?…って、してやるってなに」

一緒に居てくれるというのが嬉しかったのだが、なんとなくその言い方が引っかかる。

「なにって、言葉通りだ。俺も暇だからな、暇つぶしに相手しろよ」

「あ…あはは…」

一緒に散歩をしてくれる事に対する感謝だとか、嬉しさだとか、そういったものが一瞬で走って逃げていった。


なんだっけ、これ。
確か、俺様とかってこんな感じの物言いするんだっけ。


乾いた笑いを浮かべて顔を引きつらせていると、彼がニッコリと笑って私の両頬をつねってくる。

「何か言いたげだな?」

優しい声で聞いてくるが、その言葉の裏には完全に『文句あるか?』と言っている彼が見えた。

「い、いぇ…ていひゃいんれふへほ」

手を振りほどき、両手で頬を擦ると、彼はニッコリと笑って私の頭をポンポンと撫でてきた。