「それが三時過ぎで……気がつくと、いつの間にか六時になってた」

「え?」

どう言うこと?

と百合子が首を傾げる。

「眠っていたらしい。けど、それがどうも変な感じでな」

「変って?」

「ん……、とても大事な物を見つけた代わりに、大切な何かを失ったような……」

「夢とか?」

「いや……どうかな」

それすらどうなのか分からない。

達也は曖昧に言葉を濁し、胸ポケットに手を当てた。

そこには、目覚めた時に握りしめていた一枚のトランプと、色あせた家族写真が差し込まれていた。