「お前がたっちゃんか」

掴まれた腕を振りほどき、翔がユラリと立ち上がる。

「……盗み聞きするつもりはなかったんだがな、話は聞かせてもらったよ」

「ふん」

翔が鼻を鳴らす。

「なら話は早えーや」

言うなり達也の肩を掴み、血まみれの拳で殴りつけた。

「きゃああ!」

百合子の悲鳴が天井に響く。

「……野郎」

山車の車輪に背中を打ち付け、達也はジンと痺れる顎を撫でた。