「翔……やめて」

「うるせぇ!」

「ダメだって、翔!」

「ほっとけよ!」

必死で訴える百合子の声を無視し、拳を高々と振り上げる。

その時、

なおも床に叩きつけようとした翔の手首を誰かが掴んだ。



「やめとけ」

少し低い、良く通る声。

「!」

翔が振り返る。

その視線の先に、背の高い細身の青年が立っていた。