「翔、ごめんね……私、いい加減なことばっかりして、我が儘ばっかり言って、どうしようもないね」

「ゆり……」

「でもね、どうしてもあの人のことが忘れられないの……だからもう……」

「……畜生」

翔が拳を握りしめる。

「畜生おおおおおお!!」

そのまま拳をコンクリートの床にガンと打ち付け、呻くように吠えた。

「なんで……」

ガンッ!

「なんでだよ!」

……ガンッ!

二度三度と床に拳を叩きつけ、翔は子供のようにわめき続けた。

その手がみるみる血で汚れていく。